支援記録の書き方|放デイ・児発の5要素と「楽しそう」を事実に直す言い換え、NG→OK文例12本
支援記録は、毎日いちばん多く書く書類です。そのぶん忙しい日ほど「楽しく過ごした」「特に変わりなし」で埋まり、半年後にモニタリングで読み返したとき、目標に使える材料が見つからなくなります。
この記事では、記録の5要素・目標とのつなぎ方・事実と解釈の分け方・書かない表現を整理し、場面別のNG→OK文例を12本そろえました。( )の中を書き換えれば、そのまま記録に使えます。
※様式や運用は自治体・事業所によって異なります。最終的には指定権者の指示に合わせてください。
1. 運営基準で決まっている3つのこと
まず、児童福祉法にもとづく指定通所支援の運営基準で決まっていることです。放課後等デイサービスにも同じ規定が準用されています。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 都度記録 | 支援を提供したときは、提供日・内容その他必要な事項を、提供の都度記録する(第21条第1項) |
| 保護者の確認 | 記録にあたっては、保護者から支援を提供したことについて確認を受ける(第21条第2項) |
| 5年保存 | 提供の記録は、個別支援計画などとあわせて、提供した日から5年間保存する(第54条第2項) |
「都度」なので、何日分かをまとめて後から書くものではありません。その日のうちに書き切れる形を事業所で決めておくことが、書き方以前の土台になります。
2. 記録の5要素。特に大事なのは「支援」と「結果」
| 要素 | 書くこと |
|---|---|
| ①場面 | いつ・どの活動で・誰といたか |
| ②本人の様子(事実) | 見たこと・聞いたこと。本人の言葉はかぎかっこで |
| ③職員の支援 | どんな声かけ・手がかり・環境の工夫をしたか |
| ④結果 | 支援のあと、本人がどうしたか |
| ⑤次回へ | 続けること・変えてみること |
5つをつなげると、こうなります。
(おやつ後の片づけ)の時間。ブロック遊びを続けたがり、「まだやる」と言って棚の前に座り込んだ。職員がタイマーを見せて「タイマーが鳴ったらおしまい」と伝えた。5分後にタイマーが鳴ると自分でブロックを箱に戻し、片づけに加わった。次回もタイマーを先に見せてから声をかける。
毎回すべてそろえる必要はありません。ただし③支援と④結果が抜けると、何が効いたのかが後から分からなくなります。短く書く日でも、この2つだけは残します。
3. 個別支援計画の目標と「同じ物差し」で書く
支援記録は、モニタリングで「目標がどこまで達成できたか」を判断する材料です。半年後の自分が探しやすいように、次の3点をそろえます。
- 記録の冒頭に、関係する短期目標の番号や要点を添える(例:【目標2:切り替え】)
- 目標に書いた条件(声かけ1回以内、手順カードを見ながら、週3回以上)と同じ単位で結果を書く
- 計画にある5領域(健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性)のどれの場面かを意識する
NG今日はスムーズに切り替えられた。
OK【目標2】タイマーが鳴っても遊びを続け、声かけ2回目で片づけを始めた。前回(声かけ3回)より少ない回数で移れた。
目標が「声かけ1回で移れる」なら、記録も「1回で移れた」「2回目で移った」と回数まで書きます。「スムーズに」では達成の判定ができません。
4. 「楽しそう」「落ち着きがない」を事実に直す
記録でいちばん多いつまずきは、職員の受け取り方(解釈)だけがあって、何があったか(事実)がないことです。同じ姿でも、見る人によって解釈は変わります。まず事実を書き、解釈を添えるなら「〜の様子から、〜と思われる」と根拠と分けます。
| 解釈の言葉 | 事実に直した例 |
|---|---|
| 楽しそうだった | 声を出して笑っていた/「もう1回」と言って同じ遊びを3回くり返した/終わりの声かけのあとも道具を手放さなかった |
| 落ち着きがない | 説明の途中で3回席を立ち、窓のほうへ歩いた/鉛筆を机に何度も打ちつけていた/大きな音のあと耳をふさいで歩き回った |
| 機嫌が悪い | 来所時に挨拶に応じず、上着を着たまま10分座っていた/「やらない」と2回言った |
| 集中していた | 20分間、席を立たずに(パズル)を続けた/隣の子が話しかけても手を止めなかった |
| 甘えている | 活動の前に職員の袖を引き、「一緒にやって」と言った |
言い換えると、「落ち着きがない」の中にも、見通しがなくて席を立つのか、音がつらくて動くのか、違う理由が見えてきます。事実で残しておくと、次の支援を考える手がかりになります。
5. 書かないほうがよい表現
支援記録は保護者が確認し、運営指導で読まれることもある記録です。
- 人格を決めつける言葉:わがまま、問題児、困った子、だらしない
- 診断名を思わせる推測:〇〇の傾向がある、〇〇っぽい。医療の判断は記録に書かない
- ほかの子どもの名前:「友達」「Aさん」とし、個人が特定されないようにする
- 職員の感情:イライラした、手に負えなかった
- 中身のない決まり文句:特に変わりなし、元気に過ごした、いつも通り
- あいまいな程度:少し、かなり、よく。回数や時間に置き換えられるときは置き換える
6. 場面別のNG→OK文例12本
( )の中は、お子さんや活動に合わせて書き換えてください。
来所・帰りの支度
NG着替えを頑張った。
OK【目標1】来所時の上着を、手順カードを見ながら自分で脱いでハンガーにかけた。声かけはなし。ファスナーの下げ始めだけ職員が手伝った。
NG帰りの支度に時間がかかった。
OK帰りの支度で、連絡帳と水筒は自分でかばんに入れた。上着を忘れて靴を履きに行ったので、職員が「あと1つ」と声をかけると棚に戻って取った。所要(8分)。
活動・宿題
NG落ち着きがなく、集中できなかった。
OK(工作)の説明中に2回席を立った。職員が完成見本を机に置くと席に戻り、最後まで取り組んだ。次回は説明の前に見本を見せる。
NG宿題をやりたがらなかった。
OK宿題の(漢字)で、2行書いたところで鉛筆を置き「つかれた」と言った。10分休んだあと(音読)に切り替えると最後まで読んだ。書き取りの残りは持ち帰り。
NG楽しく遊んでいた。
OK自由遊びで(ブロック)を選び、20分ほど一人で(高い塔)を作った。完成すると職員を呼び、「見て」と指さした。
切り替え・気持ちの崩れ
NG機嫌が悪く、泣いていた。
OK(ゲームに負けた)あと、床に寝転んで5分ほど泣いた。職員はそばで待ち、落ち着いたところで(クールダウンスペース)に誘うと自分で移動した。10分後に活動に戻った。
NG切り替えができなかった。
OK【目標2】終わりの声かけで「いや」と言い、(ブロック)を離さなかった。職員が次の活動の道具を机に置いて待つと、3分後に自分でブロックを箱に入れた。
友達との関わり
NG友達とけんかして、手が出た。
OK(ボール遊び)で順番を抜かされたとき、友達の腕を1回たたいた。職員が間に入り「順番を抜かされていやだったね」と気持ちを言葉にすると「いやだった」とくり返した。その後は職員と一緒に順番を待った。
NG友達と仲良く遊べた。
OK【目標3】(すごろく)で、友達が「貸して」と言ったサイコロを、声かけなしで渡した。今日は同じやりとりが2回あった。
食事・体調
NGおやつを少ししか食べなかった。
OKおやつの(せんべい)2枚のうち半分を食べ、「もういい」と言った。お茶はコップ1杯。保護者に連絡帳で食べた量を伝えた。
NG体調が悪そうだった。
OK(15時)ごろから活動中に2回あくびをし、(16時)に「ねむい」と言って机に伏せた。検温(36.8度)。お迎え時に母に伝えた。
変わりのない日・保護者への引き継ぎ
NG特に変わりなし。
OK来所から帰りまで、予定表を確認しながら活動を進めた。宿題は(15分)で終え、その後は(パズル)で過ごした。体調の訴えなし。
7. 毎日書き切るための4つの工夫
- 記録用紙の欄を**「場面/様子/支援/結果/次回」**の順に並べる。書く人が変わっても形がそろう
- 1日の記録は**「いちばん目標に関わった場面」を1つ**厚めに書き、ほかは短く
- 活動中は回数・時間・本人の言葉だけメモしておく。あとで文にしやすい
- 月に1回、職員どうしで記録を読み合わせ、決まり文句が増えていないかを見る
まとめ
- 支援記録は、提供の都度書き、保護者の確認を受け、5年間保存する
- 5要素は「場面・様子(事実)・支援・結果・次回へ」。支援と結果は必ず残す
- 記録にはどの目標の場面かを添え、目標と同じ単位で結果を書く
- 「楽しそう」「落ち着きがない」は、見たこと・聞いたことに言い換える
- 決めつけ・診断めいた推測・ほかの子の名前・決まり文句は書かない
よくある質問
支援記録は、何日分かをまとめて書いてもいいですか?
運営基準では「提供の都度」記録することになっています。その日のうちに書き切れる形(記録用紙の欄の順番、メモの取り方)を事業所で決めておくのが現実的です。
毎日、すべての目標について書かないといけませんか?
現実的ではありません。「今日はこの目標の場面があった」ときに、その場面を厚めに書き、ほかは短くて構いません。どの目標の場面かが分かるように、目標の番号や要点を添えておくとモニタリングで探しやすくなります。
ほかの子どもとのトラブルは、相手の名前を書きますか?
個人が特定されないように「友達」「Aさん」などとし、事業所のルールに従います。書くのは本人がしたこと、職員の関わり、その後の様子です。