個別支援計画の書き方|放デイ・児発の項目・目標・支援内容の文例(令和6年度改定対応)
個別支援計画は、児童発達支援管理責任者(児発管)が書く書類の中で、いちばん時間がかかり、いちばん運営指導で見られる書類です。しかも令和6年度の報酬改定で、書く項目が増えました。
この記事では、「何を書くか」「どの順番で作るか」「目標と支援内容をどう書くか」を1本にまとめます。文例は、そのまま計画書に写して、( )の中だけ書き換えれば使える形にしてあります。
※様式は自治体・事業所によって異なります。最終的には指定権者(都道府県・市)の様式と指示に合わせてください。
1. まず、いまの様式に「この3つの欄」があるか確認する
令和6年度の改定後、個別支援計画に書く項目は次のとおりです。
| 項目 | 何を書くか |
|---|---|
| 本人の意向・保護者の意向 | 本人と保護者、それぞれの言葉で |
| 総合的な支援の方針 | 計画全体で何を大事にするか |
| 長期目標・短期目標 | 達成時期は最長6か月後まで |
| 支援内容 | 本人支援・家族支援・移行支援は必ず。地域支援・地域連携は必要に応じて |
| 5領域との関連 | 5領域のすべてと関連付けられるように |
| インクルージョンの観点 | 地域の子どもと過ごす機会などをどう考えるか |
| 支援の標準的な提供時間等 | 曜日・頻度・時間帯 |
| 優先順位 | 本人支援の目標の順位 |
改定前の様式を使い続けている事業所で抜けやすいのは、「5領域との関連」「インクルージョンの観点」「支援の標準的な提供時間等」の3つです。欄そのものがなければ、まず様式を直すところから始めます。
5領域は「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5つです。5領域ごとに別々の目標を立てる必要はありません。1つの目標が複数の領域に関わるのは自然なことで、どの目標がどの領域とつながっているかが読み取れれば足ります。
2. 作る順番は6段階。日付は「同意→開始」の順
| 順番 | すること | 残す記録 |
|---|---|---|
| 1 | アセスメント(保護者・本人への面接) | アセスメントシート・面談記録 |
| 2 | 原案の作成(児発管が中心) | 計画の原案 |
| 3 | 担当者等会議 | 会議の記録(日時・参加者・検討内容) |
| 4 | 保護者への説明と文書での同意 | 説明日・同意日・署名 |
| 5 | 交付(保護者と相談支援事業所へ) | 交付日 |
| 6 | モニタリング(少なくとも6か月に1回) | モニタリング報告書 |
令和6年度から、相談支援事業所への交付も必要になりました。保護者に渡す分と一緒に、相談支援事業所の分を用意しておくと漏れません。
日付で最も多い指摘は、同意日が計画期間の開始日より後になっているケースです。説明日・同意日は、開始日と同じ日か、それより前にします。後になると、その間は「計画がないまま支援していた」と見なされるおそれがあります。
3. 目標は「行動」「場面」「回数」の3点で書く
目標が毎回似た文になる原因は、たいてい「様子」を書いているからです。行動・場面・回数の3点がそろうと、誰が読んでも同じ姿が浮かび、6か月後に達成したかどうかを判断できます。
NG落ち着いて活動に参加できる
OK活動の切り替えのときに、声かけ1回で次の活動に移ることができる
NG友達と仲良く遊ぶ
OK自由遊びの時間に、使いたいおもちゃを「貸して」と言葉で伝えることができる(週3回以上)
NG身の回りのことを自分でする
OK帰りの支度(連絡帳・水筒・上着をかばんに入れる)を、手順カードを見ながら声かけ1回以内で終えることができる
支援内容も同じです。「見守る」「声かけをする」だけでは、担当が替わったときに引き継げません。職員が何を、いつ、どうするかまで書きます。
NG切り替えができるよう見守る
OK活動の終わり5分前にタイマーを本人に見せ、鳴ったら「次は(工作)」と1回だけ声をかける。移れないときは次の活動の道具を机に置いて待つ
4. 5領域×年齢別の目標と支援内容の文例
( )の中は、お子さんに合わせて書き換えてください。未就学は児童発達支援、小学生・中高生は放課後等デイサービスを想定しています。
健康・生活
- 未就学 目標:おやつの前に、手洗いの手順カードを見ながら手を洗うことができる。 支援内容:洗面所に3枚の写真カードを貼る。最初の1か月は職員が隣でカードを指さし、2か月目からは離れて見守る。
- 小学生 目標:帰りの支度(連絡帳・水筒・上着)を、手順カードを見ながら声かけ1回以内で終えることができる。 支援内容:支度の手順を棚に貼り、止まったときだけ「次はどれ?」と声をかける。
- 中高生 目標:来所時に、自分で予定表を確認し、宿題の時間を決めてから活動に入ることができる。 支援内容:週の予定表を渡し、来所時に「今日は何時から?」と一言だけ聞く。
運動・感覚
- 未就学 目標:(はさみ)で(太い直線)を、線から大きくはみ出さずに切ることができる。 支援内容:制作活動で週(2)回はさみを使う。線の太さを(1センチ)から始めて細くしていく。
- 小学生 目標:(なわとび)を、連続で(5回)跳ぶことができる。 支援内容:運動の時間に週(1)回、職員が回数を数えながら一緒に跳ぶ。できた回数を本人と一緒に表に書く。
- 中高生 目標:活動の合間に、自分で(クールダウンスペース)に行って休むことを選べる。 支援内容:疲れのサインを本人と確認し、休みたいときのカードを渡す。
認知・行動
- 未就学 目標:その日の予定表を見て、次の活動を自分で確かめることができる。 支援内容:来所時に絵と文字の予定ボードを一緒に確認し、終わった活動のカードを本人が外す。
- 小学生 目標:宿題を、(音読→計算→漢字)の順番表を見ながら最後まで進めることができる。 支援内容:順番表を机に置き、1つ終わるごとに本人がチェックを入れる。
- 中高生 目標:1週間の予定を自分でスケジュール帳に書き、翌週の持ち物を前日に準備できる。 支援内容:金曜に職員と翌週の予定を確認し、持ち物リストを一緒に作る。
言語・コミュニケーション
- 未就学 目標:困ったときに「手伝って」と言葉かカードで伝えることができる(週3回以上)。 支援内容:「手伝って」カードを机に置く。困っている様子が見えたらすぐに手伝わず、カードを指さす。伝えられたらすぐに応える。
- 小学生 目標:活動の感想を「楽しかった/むずかしかった」の2択から選び、理由を1文で言うことができる。 支援内容:帰りの会で毎回聞く。理由が出ないときは「どこが?」と1回だけ聞き足す。
- 中高生 目標:予定の変更を職員に自分から伝えることができる。 支援内容:変更を伝えるときの言い方(「明日は〇〇なので休みます」)を紙に書いて渡し、練習の機会を月に(2)回つくる。
人間関係・社会性
- 未就学 目標:小集団のゲームで、自分の順番が来るまで席で待つことができる。 支援内容:3〜4人のゲームを週(1)回行う。順番カードを使い、待っている間は職員が「次は〇〇さん」と見通しを伝える。
- 小学生 目標:友達に頼まれたとき、「いいよ」「今はできない」のどちらかを言葉で返すことができる。 支援内容:頼まれる場面をロールプレイで月(2)回練習し、実際の場面で言えたときはその場で認める。
- 中高生 目標:グループ活動で、自分の役割((記録係))を最後まで担当できる。 支援内容:活動の始めに役割表を確認し、途中で止まったときは役割表を指さして思い出せるようにする。
5. 意向欄を「特になし」にしないための聞き方
「何かご希望はありますか」と聞くと、多くの保護者は「特にありません」と答えます。希望がないのではなく、聞かれ方が広すぎるのです。次のように場面を区切って聞くと、書ける言葉が出てきます。
- 「1年後、お家でどんなことが一人でできていたらうれしいですか」
- 「朝や夕方に、困っている場面はありますか」
- 「学校(園)の先生から、何か言われていることはありますか」
答えは、できるだけ保護者の言葉のまま書きます。
NG保護者の意向:身辺自立を進めてほしい。
OK保護者の意向:「朝の着替えに時間がかかって、毎朝バタバタしている。上着のボタンだけでも自分でできるようになってほしい」(母)
本人の意向は、言葉で答えられないお子さんでも「好きな活動」「嫌がる場面」を職員が観察した事実として書き、「本人の様子から」と添えます。
6. 期限切れは減算に直結する
個別支援計画が作られていない、または期限が切れたまま支援していると、個別支援計画未作成減算の対象になります。
- 該当した月から2か月目まで:所定単位数の30%を減算
- 3か月目以降:50%を減算
減算は、計画のないお子さんの分にかかります。忙しい時期に1人分の見直しが遅れるだけで起こるので、作成日から6か月後の期限を一覧表で管理し、期限の1か月前にモニタリングと面談の予定を入れておくのが確実です。
7. 提出前のチェックリスト
- 本人の意向と保護者の意向が、それぞれの言葉で書かれている
- 支援内容に、本人支援・家族支援・移行支援の3つがある
- 5領域との関連が、計画全体で読み取れる
- インクルージョンの観点、提供時間等の欄が埋まっている
- 目標に「行動・場面・回数」が入っている
- 支援内容に「職員が何をするか」が書かれている
- 同意日が計画期間の開始日以前になっている
- 保護者と相談支援事業所の両方に交付した記録がある
- 期限(6か月後)が一覧表に入っている
まとめ
- 令和6年度改定で、5領域との関連・インクルージョン・提供時間等の欄が必要になった
- 支援内容には、本人支援・家族支援・移行支援を必ず書く
- 目標は「行動・場面・回数」、支援内容は「職員が何をするか」で書く
- 同意は計画期間の開始日まで。交付は保護者と相談支援事業所の両方に
- 見直しは6か月ごと。期限は一覧で管理し、減算を防ぐ
よくある質問
5領域ごとに目標を1つずつ立てないといけませんか?
いいえ。1つの目標が複数の領域に関わるのは自然なことで、計画全体で5領域とのつながりが読み取れれば足ります。目標ごとに「主に関連する領域」を1つ添えておくと、関連付けが一目で分かります。
保護者の同意は、計画期間が始まってからでも大丈夫ですか?
説明と同意は、計画期間の開始日と同じ日か、それより前に済ませます。開始日より後になると、その間は計画がない状態で支援していたと見なされるおそれがあります。
個別支援計画は誰が作りますか?ほかの職員が下書きしてもいいですか?
作成の責任者は児童発達支援管理責任者(児発管)です。ほかの職員が情報を集めたり下書きをしたりすることは問題ありませんが、児発管が実際に関わって作った計画であることが必要です。
見直しはどのくらいの間隔で必要ですか?
少なくとも6か月に1回、モニタリングで実施状況を確認して見直します。目標の達成時期も最長6か月後までに設定します。